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● 管理規約・使用細則の改善及び制定

 管理規約・使用細則は組合員およびマンションを運営する管理組合にとっては無くてはならないものであり、また、理事長は何らかの問題が生じた場合でも管理規約および使用細則の定めに照らし合わせて解決することになり、大変に大事なものであります。
 平成9年に国は「標準管理規約」を大幅改正し、その後「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」が施行されたほか、「建物の区分所有等に関する法律」が改正され、それに見合ったものとして平成16年に国の「標準管理規約」が改正されました。
 したがいまして、平成8年以前に新築されたマンションで、まだ管理規約等を平成16年の国の標準管理規約を参考にして改正しておられないマンション管理組合さんにおかれては、例えば「全国マンション管理組合連合会」の標準管理規約の載せたい条文および貴マンションの現状に合った内容を充分に加えて改善されるとよいと思います。
 また、使用細則等についてもマンションが生活しやすく、トラブル防止となり、管理組合が円滑な管理運営を図ることできるように、下記のような使用細則・細則等を制定されることが望まれます。

 なお、規約集の形態については条文改正にはバインダーを使用して「差し替え式」を採用しておりますが、改正が必要な条文についても改正しやすく、住民の方も条文内容を間違えることもなく、また、新たな細則を制定した場合でも、元々の規約集の中にファイリングすることができ、保管しやすくなります。
※参考にしたい使用細則等がありましたらご遠慮なくご連絡ください。メール等で送らさせていてだきます

【建物使用細則】 
建物使用で問題が生じた場合、理事長が理事会等に相談しなくても済むよう、使用細則の条文を詳細に載せる。
また、長期不在の場合の専用部分の維持管理及び専有部分の水漏れについての注意、また、雨漏りは損害保険の対象外についての条文等住民の方の生活する上での知識、情報も載せると良いものになります。

【駐車場使用細則】
駐車場は取り決め内容が文書になってなく、口頭だけでは新たな住民の方にとって分からない事もあり、また、マンションによっては場内と場外の駐車場があり、場内駐車場の空きが発生した時の優先順位については問題は殆どないが、空き家、賃貸の増加に伴い、複雑な状態になると、それに見合う細則がないと将来、トラブルになるので、細則を改善する必要があります。


【自転車置場使用細則】
通常、マンションの販売当時、一家に1台としてあるため、自転車置き場の増設が必要となることが多く、増設時に「自転車置き場使用細則」を制定する必要があります。
内容としては上下自転車スタンドを利用(1台で約38センチ幅)することにより駐輪する位置を決めることができ、スタンドと自転車をスチールロックで施錠することができ、また、放置自転車と区分することができます。
安全を考えオートバイと幼児自転車の置き場を管理組合が指定します。駐車場と同様、駐輪場も共用部分を使用しますし、自転車置き場にはペンキ塗替え代がかかるので、利用料を徴収するマンションが多いようです。
なお、自転車置場が乱雑になっていると、マンションとしての品格も下がり、防犯上も悪い影響を与えますので、是非、駐輪場と使用細則を整備して下さい。

【専有部分修繕工事実施細則】
個人の住戸において修繕する場合、届け出が必要でありますが、どんな僅かな修繕についても、工事車両の迷惑駐車とか解体物・取り付け商品のエントランス等共用部分に迷惑な置き方の可能性がありますので、どの住戸が修繕を行なっているか分かるように届け出が必要となります。


床をフローリングに改修する場合、床材料等について遮音性等の条件が必要であり、改修時に工事音が出る場合は勤務が2交代制の住民の方もおられるので、住民同志の事前打ち合わせの上、昼勤の時に工事を行なう等充分注意を払う必要がありますが、細則にも、その点について問題が起こらないように条文を載せる必要があります。


【窓ガラス等改良工事に関する細則
一例として、道路整備により全面道路からの騒音が酷く、本来なら管理組合がマンション全体として2重ガラスに交換することがよいところ、管理組合には財政的余裕がないため実施できないことがあります。
 また、個人にとってはサッシ、ガラスは専用使用権があり、使用することはできますが、共用部分であるため、個人で交換することはできませんでした。
 この細則はそのような問題を解消するため、個人が共用部分の専用使用部分のうち窓ガラスのような開口部に係る改良工事について管理組合に申請をだして、承認を受ければ、個人負担で修繕・交換をすることができるというものです。 

【管理組合届出細則】 【居住者等名簿作成に関する細則】
以前は一般的なマンションでは規約には2〜3種類の届け出しか謳ってありませんが、この「届出細則」により色々な届け出が必要としており、大震災・事故等発生時の本人及び親戚への緊急連絡用も含めた内容の「居住者名簿」作成の基本データとなります。

【文書管理細則】 【各種書類保管管理規定】
この細則は各種文書等の保管方法及び保管年数について定めており、特に集会室等のないマンションにとっては古い書類を破棄でき、助かりますね。また、新旧理事会引き継ぎ時に、書類保管年数に照らし合わせて役員全員で書類の処分、整理をするといいですね。

【理事会運営細則】
国のマンション管理標準指針にもあるように理事会の開催を少なくとも2ヶ月に1回と規定し、修繕等急ぐ議案がある時は適時行なう。
 また、管理組合の理事会運営細則及び組織図において、理事会の管理業務を予め具体的に役割分担しておき、円滑で効率的な理事会活動を図れるようにします。
 理事会の審議事項・役員の責務、業務心得・業務引き継ぎ等について詳細に定め、輪番制の理事会であっても、少しでも、より適正に業務運営を遂行できるように本細則を定めた。


【入札制度等実施細則】

一番大事なのは、長期修繕計画に基づき修繕計画が将来的に適正に遂行できる財務状態にすることである。
したがって、その時々の管理体制(理事会、管理会社)によって、修繕費(20万円以上に適用)が割高になったりしないよう、入札という競争の原理により修繕等が適切に実施できるよう、当該実施細則が必要になります。

 
なお、なぜ、「入札等実施細則」の導入が必要なのかというと、例えば、大手独立系管理会社においては管理委託費は安く設定し、受託致します。しかし、管理費よりも修繕積立金の月々の費用負担の方が金額的に5割以上高く、修繕工事において3割程の利益を確保しており、全体的には安価な管理体制であるとは言えないからです。

【地震対応細則」「建物復旧細則】

日頃の地震に対する住民・管理組合の準備、地震発生時の住民・管理組合の対応のために「地震対応細則」と地震発生後の建物の被害部分を円滑に復旧するために期間限定法として「建物復旧細則」を制定します。

以上のほかに「防犯カメラ管理規定」「ペット飼育細則」「管理費等未収金回収細則」「集会室使用細則」などがあります。


 ● 重要事項説明及び管理委託契約の改善

管理組合の管理業務は多岐に渡っており、管理組合役員にとりましてかなりの負担であります。
したがいまして、管理会社にすべての管理業務ではないですが共用部分である建物・設備の点検・清掃・維持管理および事務的業務等に限定して業務委託をしております。

 
管理組合さんは管理会社と締結する管理委託契約について、業務委託の内容をご理解されておられませんと「頼んでいる」「頼まれていない」などトラブルの原因になりますので、管理会社の説明する重要事項説明書の内容を十分理解される必要がございます。
 また、管理組合さん側においても大事な管理組合の自主性の向上と管理委託料の費用負担を考慮する必要はありますが、管理委託する業務の内容(管理仕様書で表示)について、何を、どこまで委託するのが適正かということをマンションの状況も考慮して検討することが大事です。
なお、管理委託契約のポイントはトラブルが起きないよう管理業務の内容を詳細に取り決めをするということ、また、時には他の管理会社に同じ「管理仕様書」で見積もりを取るということです。それにより管理委託料を下げていただくことも容易にできます。


 ● コミュニティー形成の重要性

 マンションにおいて大規模修繕等の修繕が円滑に進まない、住民マナー・ルール等が順守されない、住民トラブルが多いというようなことがあっては大変です。
 そのようにならないためには役員の選任の仕方、使用細則、広報活動等の様々な改善が必要ですが、そのうちの一つにコミュニティー形成の推進も大事な要素です。

 コミュニティー形成には下記のことが有効とされております。
 ・  挨拶の奨励・全員参加のゴミゼロ、草取り活動の普及
 ・  防災活動・防犯活動の実施・親睦イベント企画
 ・  広報の活用(日頃の管理組合の情報の発信・ゴミゼロ、草取り知らせ)
 ・ 住民交流会・総会出席者の自己紹介・集会室の解放  
 ・  管理規約・使用細則の改善
 ・ 組合員は全員が何らかの組合役員に就任する。(負担の少ない役でもいい・参加することに意義がある) 
 ・ 相手の立場になり、お互いに他人に迷惑をかけないよう注意(生活音・工事音には充分注意) 
 ・  寛容の心(正しい事を主張しても、度が過ぎては、かえって、嫌われる。バランスが大事)
 ・ 意見等を言うだけでなく自分も率先して実行することに意味がある。(言うだけでは、かえって嫌われる) 
 
日常生活・会議等では是は是、非は非であるにせよ、極力、批判的な表現は避けて、前向き、協力的な発言、姿勢が望ましい。さもないと、総会等会議の参加者は少なくなり、役員もやりたがらない。その逆は参加者は増え、住民コミュニティー形成が図られる。

● 専門委員会のあり方
平成16年国の標準管理規約に「専門委員会の設置」が下記の通り謳われました。
(専門委員会の設置)
 1 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。 
 2 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。  
  理事会は業務が多忙な場合及び大事な重要議案が提起された時に専門委員会を設置し、理事会が要請または公募でメンバーを募集し、例えば「管理規約・使用細則改善委員会」「大規模修繕委員会」というような具体的な名称をつけ、専門委員会を設立します。 
 通常、委員会の趣旨・運営内容を明確にするため会則を造りますが、条文のポイントは下記の通りとすることが望ましいと思います。

1 理事会の諮問機関であること。(管理業務の2重構造を防ぎます)
2 少なくとも理事長は専門委員会の委員に入ります。(理事会とかい離しないため)
3 委員会の活動期間を限定します。
4 諮問する課題を特定します。(管理業務の2重構造を防ぎます)
5 委員の資格及び運営方法は理事会とほぼ同様とします。


 ● 管理会社の月度の管理業務報告の意義

管理組合は管理会社に月度の管理業務を直接会って報告して頂くようにすることが大事です。
担当者に会った時に修繕及び次回理事会開催等の話も顔を見て打ち合わせすることができ、また、銀行の管理費請求書に押印をするときに滞納状況も説明が受けることができます。

月度の管理業務報告等の内容は下記の通りです。
@住民の入退去の状況
A前月管理費の入金状況・未収金報告
B月度決算報告
C銀行の管理費引落し請求書及び銀行払い出し書の押印処理

D前月の各種点検・清掃報告
E修繕等実施の報告
F今後の検討事項報告及び今期の事業計画等の実施打ち合わせ


直接、管理会社の担当者とあって理事長が「預金払出書」に銀行印を押印することが自然であり、担当者の使い込み等の事故を未然に防ぐことができると思います。
通帳と印鑑が同じところにあることは不自然ですね。

● 管理会社の担当は一人で7棟が限度

 あなたの委託契約をしている管理会社の担当者は何棟管理されておられますか。
国のマンション管理標準指針では理事会は年に6回としており、臨時総会と定期総会で2回となり合計8回となります。
 一人で7棟とすると7×8回=56回となり月当り4.6回にて、一人で7棟でも担当者は毎週理事会か総会があることになります。
管理会社の担当者には下記の管理業務があり、築年数が10年以上経過しているマンションを多く担当しているとなかなか大変です。

・理事会の資料準備・議事録案作成
・総会の議案書作成・議事録案作成
・建物・設備の維持管理・修繕等の対応
・各種点検・清掃の実施打ち合わせ
・修繕計画立案
・規約・使用細則の改善提案
・長期修繕計画の改正案
・管理費請求書の銀行提出処理
・修繕費等の支払い業務
・管理業務報告書作成及び報告
・水漏れ・雨漏りの現場確認(原因調査作業は別費用)
・損害保険の保険会社への事故報告・保険請求
・駐車場の募集・契約締結
・管理費の滞納請求

 
・点検・清掃・修繕等の各案内の掲示板への掲示
 ・各種届出書の配布及び受付・保管と理事長への届出書のコピー届

・車庫証明の交付

一般的に、管理会社では遠方から通常15棟程管理しているのが現状であり、満足な管理業務は出来かねます 管理会社には一人7棟位までの管理体制を望みます。

 外来用駐車場の確保
マンションも築20年程経過しますと共用部分も専有部分も経年劣化して、修繕が必要となります。
その時問題になるのは、修繕車両の駐車スペースですね。修繕内容次第では3台程同時に駐車することもあります。
マンションによっては管理組合が敷地内のスペースで何とか工夫して駐車できる場所を見つけて、「業者用駐車スペース」と表示して便宜を与えているマンションもあり、また、あるマンションさんでは当年度の組合役員の駐車場を日中及びウイークデイに限り共用部分の修繕業者の工事車両の駐車に充てるなどしておりますが、大事なことですね。

また、別のマンションでは「空き時間駐車場細則」を定め、事前に駐車場所有者に了解を得ることで、修繕業者等外来者が駐車場を利用できるようにし、お互いに駐車場を利用しあって、合理的に駐車場の活用を図っているところもあります。

 
どのような方法にしても、マンション住民の方の車両が駐車場に出入りするための通路等の共用部分に外来者車両が迷惑駐車しなくても、マンションで用を足せることができるように、管理組合さんが何らかの外来用駐車場スペース(特に修繕工事車両)を用意しなければならないと思います。
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